食品工場での運搬や仕分けなどの単純作業をロボットが行っているところは、今ではもう珍しくありません。ここでは、これからさらに増えるであろう仕分けロボットの特徴や種類、用途などについて見ていきましょう。
食品工場で用いられている仕分けロボットは、正式には「パラレルリンクロボット」と呼ばれるものです。ベルトコンベアで流れてくるさまざまな商品を、OK品とNG品、形状、種類、さまざまな基準で選別し、ロボットアームでピックアップしていくという仕組みとなっています。
食品工場における仕分け用ロボットの使用用途は、当然さまざまな商品を適切に仕分けることです。この仕分け作業の後には、同じく器械による箱詰めや包装が行われます。仕分け用ロボットの仕分け作業は、後の梱包作業の下準備とも言える作業なのです。
従来、こうした作業はアルバイトやパートが行う定番の作業でした。しかし、商品の取り違えや判断ミスといったヒューマンエラーを解消するために、この仕分けロボットが導入されたのです。
各種ロボットを駆使した工場や物流倉庫の自動化を要求しているのは、消費者の急激なEC化率の向上です。経済産業省が発表した国内におけるBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、その段階ですでに前年比7.65%増の19兆4000億円という数字でした。これに拍車をかけたのがコロナ禍です。巣ごもり需要の拡大やネットショッピングの比率の大幅な増加によって、今後もEC化は確実に増加していくと思われます。
これに対応するために、今後はさまざまな分野で限られた人的ソースを有効活用するために、人力によるピッキングは減少していくでしょう。
※参照元:経済産業省公式サイト(https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003.html)
現在、さまざまな業界が人手不足で悩んでいます。それは、倉庫業務も例外ではありません。本来なら、消費者のEC化を受け止めるために必要な人手が不足しており、新規採用もうまくいっていません。このままでは工場や倉庫業務がうまく回らなくなってしまいます。こうした状況を受け、倉庫業務の自動化で人手不足を解消するために仕分け用ロボットの導入が推し進められているのです。
仕分け用ロボットを導入するメリットであり動機でもあるのが、作業効率の向上です。人力でのピックアップの場合、重量物の運搬が困難であったり怪我などのリスクがあったり、そもそもの人手が十分に確保できていないという問題があります。これに対し、仕分けロボットは重量物の運搬も難なくこなし、危険な環境での作業にも投入できます。
ピックング作業についても、人力の場合は習熟が必要なのに対し、ロボットがやるなら正確かつ迅速に作業を行うことが可能なのです。
ロボット導入のもう一つの大きなメリットが、人的ミスの軽減です。人間の手作業だと、どれほど習熟した人でもミスを起こしてしまうもの。作業にまだ慣れていない新人スタッフならなおさらです。しかし、ロボットならどの個体も同じように作業をしてくれるので、人的ミスを大幅に削減できます。
当然のことですが、仕分け用ロボットの導入には費用がかかります。産業用ロボット自体の価格はそれほど高くはなく、小型のものであればおよそ100万円程度で購入できます。しかし、当然初期費用として必要なのはロボット本体の価格のみではなく、工事費をはじめとする様々な費用が初期費用として必要です。そして、導入後にもメンテナンスコストがかかることを忘れてはいけません。仕分け用ロボットを導入する際には、ロボットが実際に稼働するまでにかかるすべてのコストを、事前に細かく正確に計算しておく必要があるのです。
参照元:ロボカル(https://robokaru.jp/types/picking-robot/)
仕分けロボットを導入する予算があっても、それらのロボットを設置する場所がなくては宝の持ち腐れです。導入するロボットのタイプや規模にもよりますが、少なくとも人手での作業時よりも広いスペースが必要になるのは確実と言っていいでしょう。
特に、熟練作業員と一緒に仕分けロボットを運用する場合は、危険防止のために十分なスペースを取って作業できる環境を用意しなくてはいけません。
引用元:株式会社立花エレテック公式HP(http://tachibana-tokuiwaza.com/fa/distribution/pick_robot.html)
この実例における課題は、急激な需要の拡大に伴う作業量の増加に人手がついていけない、24時間稼働なのに夜間作業者が十分に確保できないといったような点でした。そうした状況を改善するため、各種ロボットの導入を実施。
その結果、箱詰め作業を完全自動化に成功、時間的、人的コストを大幅に削減しました。さらに24時間稼働も問題なくできるようになり作業効率も大幅に向上。さらに、袋詰作業に関してはカメラで袋の位置を検出してロボットを動かすことでより正確な作業ができるようになりました。
仕分けロボットの導入には、さまざまなハードルがあります。初期費用をどのようにして捻出するか、導入前と比較して確実に利益は出せるのかなどをしっかり考えたうえで導入しないと後から後悔することになります。
こうしたハードルについては、自社内だけで考えていてもなかなか答えは出ないもの。そうしたときは、信頼できるメーカーに相談して今後の方針を決めるのも良いでしょう。
食品工場に特化したロボットシステムを提案しているロボットSIer。検査装置を搭載した整列・供給、箱詰めロボットシステムなどの開発を手掛けており外観検査の自動化で生産性を向上させます。
多くの仕入れ先の製品を組み合わせ、生産現場の課題解決につながるシステムを提案する産業用機器などの専門商社。工場の自動化やIoT化に注力しており、食品工場の温度管理を自動化させた実績もあります。
食品工場のみならず、OA機器業界や自動車業界など幅広い工場の生産ライン機器の製造実績を持つSIer。130人超のエンジニア(2021年4月時点)が在籍し、工場全体の自動化をマネジメントします。
※選出理由:幅広い業界の生産活動の高度化を推進する「FA・ロボットシステムインテグレータ協会」(https://www.farobotsier.com/)の会員であるロボットシステムインテグレーター138社(2021年7月1日時点)の中から、食品工場向けのソリューションを提供しており、かつ各ニーズの条件を満たした会社を選出しました。
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(2)温度管理:食品工場の「温度管理を自動化したい」というニーズに適した提案実績が公的機関に取り上げられた企業。
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